山形で暮らす金工作家の川地あや香さんが四季折々、自分と家族のためにつくってきた「おやつ」を紹介するお菓子の本『おやつとスプーン』。
こちらの記事でもご紹介した『おやつとスプーン』のレシピで、実際にお菓子をつくってみた感想をレビューします。
『おやつとスプーン』が届きました
注文した『おやつとスプーン』が届きました。
写真集のようなA5変型サイズ。
表紙を開くと、川地さんからのごあいさつ。
仕事場とクッキー缶の写真が添えられています。
疲れてきた自分のためにおやつを作っておこうという対策は
一人暮らしをしていた時代から同じです。
食べることが息抜きになる日もあれば
粉を混ぜて生地をのばす 作業そのもので
心が落ち着いていく日もあります。
自分で自分のバランスを調整する手段の1つです。(「ごあいさつ」より抜粋)
生地にふれて無心になって、
甘いものを食べて、ほっとくつろいで。
『おやつとスプーン』のレシピで、私もそんな時間を楽しみたいと思います。
『おやつとスプーン」のレシピでお菓子づくり
『おやつとスプーン』には、春夏秋冬の季節ごとの「おやつ」のレシピが70品ほど掲載されています。
クッキー、マフィン、ドーナツ、サモサ、パンケーキ、アイスクリーム、タルト、チーズケーキ、チョコレートケーキ、お焼き、蒸しパン、大根餅、ジャム……。
少しの材料でさっとつくれるお菓子から、豆腐クリームを使ったショートケーキ、ナッツとフルーツたっぷりの「フィグログ」、さらには酒粕や塩麹でつくるおつまみになるおやつまで。バラエティ豊かなレシピが紹介されています。
材料は薄力粉や全粒粉、きび砂糖、塩、植物油、ベーキングパウダー、豆乳など、身近にあるものが中心。
川地さんが撮影された写真がほんとうに素敵で、おいしそうで。すぐにもつくって食べたくなるお菓子ばかりです。
そんな中から今回は、出版案内のリリースで写真を見た時から「つくってみたい!」と思っていた「全粒粉クッキー」と、大好物のしょうがと白ごまが使われている「白ごましょうがクッキー」をつくってみることにしました。
どちらも「春」のページに掲載されているおやつです。
「全粒粉クッキー」をつくってみました
店舗をもたないお菓子屋さん「カワチ製菓 」の活動を続けている川地さん。
全粒粉クッキーに手づくりの「おやつ」の焼き印を押した「おやつちけっと」は「カワチ製菓 」の定番商品のひとつだそう。
この写真が大好きで、まずは「全粒粉クッキー」をつくってみることにしました(こちらのお菓子はリリースにもレシピが掲載されていましたので、分量と手順を記載させていただきます)。
材料(つくりやすい分量)
- 全粒粉 60g
- 薄力粉 40g
- 塩 小さじ1/3
- ベーキングパウダー 小さじ1/4
- 豆乳 25〜30g
- きび砂糖または甜菜糖 25g
- 好みの植物油 25g
- ココナッツファイン(あれば) 5g
(写真上は右手前から時計まわりに「豆乳ときび砂糖を混ぜたもの」「全粒粉、薄力粉、塩、ベーキングパウダー」「ココナッツファイン」「太白胡麻油」)。
つくり方
- 小麦粉と塩、ベーキングパウダーをボウルにふるい入れて泡立て器で混ぜ、ココナッツファインを加える。
- 別の小さなボウルに豆乳と砂糖を入れて泡立て器でよく混ぜる。
- 植物油を2に加えてなめらかな液体にする。
- 1に3を一度に入れ、ゴムベラで切るように混ぜ合わせ、ひとまとめにする。
- ラップに包んで厚さ5〜6mmにのばし、型抜きするか包丁でカットする。
- クッキングシートを敷いた天板にのせ、160℃のオーブンで8分、150℃で7〜10分焼いて天板にのせたまま冷ます。
計量したら、粉と液体を別のボウルで混ぜ、合わせてから切るように混ぜて。
粉けがなくなったらラップに包んで厚さ5mmにのばします(我が家には厚さ5mmのルーラーがないので紙を重ねて代用)。
今回は、型抜きしてオーブンへ。しばらくすると、香ばしいいい香りが漂ってきます。
「全粒粉クッキー」の焼き上がり。
我が家のオーブンレンジは火力が弱いので、10分ほど長めに焼きました。
ベーキングパウダーが入っているので、ふっくら感もありながら、パリンと心地よい歯ざわり。小麦のうまみや香りがしっかり感じられるのは、きっと粉の6割を全粒粉にしているからですね。
「白ごましょうがクッキー」をつくってみました
次につくったのは、「白ごましょうがクッキー」。
材料は、薄力粉、全粒粉、好みの砂糖、塩、白ごま、菜種油、豆乳、しょうがのすりおろし。
(写真上は右手前から時計まわりに「豆乳と生姜を合わせたもの」「粉とカソナード、塩」「白ごま」「菜種油」)
こちらはベーキングパウダーはなしで、全粒粉を4割配合。薄力粉が多めです。
つくり方は、
- 薄力粉、全粒粉、砂糖、塩を合わせてふるい、白ごまを加える。
- 菜種油を1に加えて両手ですりあわせる。
- 豆乳としょうがを混ぜて2に加え、ゴムベラで粉けがなくなるまで混ぜる。
- 生地をラップに包んで厚さ5mmにのばし、幅1cmにカット。
- 天板においてねじり(そのままでも)、160℃のオーブンで15分焼く。
均一にひねれず、うねうねになりましたが一応完成。
焼成の目安は「160℃で15分」。我が家のオーブンレンジでは粉っぽさが残ったので様子をみながらさらに10分ほど焼きました。
「白ごましょうがクッキー」が焼き上がりました。
胡麻の香ばしいいい香り。生姜がぴりっときいた大人の味。
バターや卵を使っていないのに、カリカリっと軽い歯ざわりで何本でも食べられます。
「全粒粉クッキー」も「白ごましょうがクッキー」も、計量から焼きはじめるまで30分もかからないシンプルな手順。分量が粉100gと少量で、手近にある材料でつくれるのもうれしいレシピです。
プロセスもわかりやすく説明してくださっているので、不器用な私でもおいしくつくることができました。
ただ、塩やベーキングパウダーは小さじ1/3とか、1/4といった表記なので、目分量で入れると入れ過ぎることも。私は最初につくったときに塩が強くなり過ぎたので、次からは無精をしないで小さじ1/3、1/4が計れるスプーンを使用しました。
季節を感じるお菓子の本『おやつとスプーン』
『おやつとスプーン』は、タイトルの手書き文字も、写真も、川地さんご自身の手によるもの。
カバーと帯を外すと、扉には、1冊1冊手書きでサインされたかのような、署名とお名前がありました。
まるで、川地さん手づくりのレシピノートをプレゼントしていただいた気分。
春は「たまねぎのジャム」、初夏には「さくらんぼのコンポート」、秋が深まれば「さつまいものおやつコロッケ」、冬には「干し柿のビスコッティ」…。
この本は、地元食材でつくるレシピの数々が、山形の春夏秋冬の楽しみ方も教えてくれます。
『おやつとスプーン』には、たくさんの写真が登場します。
川地さんの仕事場やご自宅、鍛金技法で制作したスプーンや器などの金工作品、手づくりのお菓子、そして山形の四季折々の風景……。
中には、ふくふくとした小さな手でお菓子づくりにいそしむ、川地さんの息子さんの写真もありました。
大好きな人と一緒につくって、楽しく食べる。
そんな遠い昔の「おやつ」の時間をなつかしく思い出させてくれる一冊です。