【おすすめ絵本】読み聞かせにぴったりの一冊【かぶきやパン】

パンの絵本

 

「つくる」こと、「食べる」ことをテーマにした本が多いパンの絵本。

でも、この本はひと味違います。

 

『かぶきやパン』

 

新装開店する「かぶきやパン」のパンたちが、歌舞伎役者となってご挨拶。

見事な台詞回しで口上を述べていく、その言葉のひとつひとつが歌舞伎の名台詞のオマージュになっているんです。

 

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歌舞伎の舞台でパンたちが大活躍

 

「とざい、とーざい!」

「ほんじつ 十じをもちまして、まちのパンや『かぶきや』のかいてんとありなりましてーございます」

 

メロンパンの口上ではじまったお披露目公演に登場するのは……

 

黒羽二重の小袖に紫縮緬の鉢巻き、蛇の目傘 を手に見得を切る、クロワッサンのみかづきすけろく。

振り袖姿の町娘、あんこちゃんに、

『かぶきやパン』の五人男、カニパン、クリームパン、チョコパン、カレーパン、ウィンナーパン。

 

登場するパンひとつひとつが、歌舞伎の役柄そのままに舞台狭しと動き回ります。

そして最後は、

「いよっ、かぶきや!」

「にっぽんいち!」

客席からの掛け声を受けて大団円。

 

最後はお決まりの「すみからすみまで、あ、ズ ズ ズイーッとー、ねがいあげーたてまつりーまするー!」

チョーン、チョーンと柝が入って、おいしそうなパンが並ぶ『かぶきやパン』の開店です。

 

歌舞伎の名台詞満載のこの絵本は、文字通り読むだけで歌舞伎役者になった気分。

リズミカルで楽しい台詞の数々は、歌舞伎を知らない子どもたちにも大受けです。

 

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パンと歌舞伎が好きになる絵本

 

作者のかねまつすみれさん は、『かぶきやパン』がデビュー作。

日本児童文学者協会と童心社が「絵本作家の発掘と育成と新鮮な絵本の出版」を目的として開催している「絵本テキスト大賞 」で、2014年にこの作品が大賞を受賞。

絵本作家の長野ヒデ子さんが絵を担当されて2018年2月、『かぶきやパン』が出版されました。

 

かねまつすみれさん

長野県生まれ。学童クラブ勤務の傍ら、児童文学の創作活動を行っている。第8回椋鳩十記念「伊那谷童話大賞」、第12回学研「読み特賞」受賞。第7回絵本テキスト大賞にて「まちのパンや『かぶきや』さん」が大賞を受賞。改題した『かぶきやパン』がデビュー作となる。日本児童文学者協会会員。信州児童文学会会員。

 

長野ヒデ子 さん

愛媛県生まれ。『とうさんかあさん』(葦書房/石風社)で日本の絵本賞文部大臣奨励賞。『おかあさんがおかあさんになった日』(童心社)で産経児童出版文化賞、『せとうちたいこさん デパートいきタイ』(童心社)で日本絵本賞を受賞。紙芝居に『ねこのたいそう』(童心社)、絵本に「長野ヒデ子わんわんえほん」シリーズ(ポプラ社)、「からだちゃんえほん」シリーズ(小学館)、『外郎売』(ほるぷ出版)など多数。

 

「パンづくりと歌舞伎が大好き」というかねまつさんは受賞記念の「スペシャルインタビュー」で、『かぶきやパン』を仕上げていく過程で大切にしたことについて、次のようにお話しされています。

 

歌舞伎になじみがない方でも、どこかで耳にしたような……と思えるセリフや演目を選んでパンたちにあてはめていきました。

文章をそのまま読んでも歌舞伎調になるように表現してみました。

実際のセリフはもっと難しい言葉をつかっている場面もありますが、そこは分かりやすい言葉に置き換えております。合いの手のかけ声は、パン大好きな私の心の叫びです(笑)

 

『かぶきやパン』は、歌舞伎をまったく知らなくても「すみからすみまで、ズ ズ ズイーッと」楽しめる絵本。

 

ちなみに、登場するパンたちの役どころは…

クロワッサン=江戸一番の色男「助六」

カニパン=弁天小僧菊之助

クリームパン=南郷⼒丸

チョコパン=⾚星⼗三郎

カレーパン=⽇本駄右衛⾨

ウインナロール=忠信利平

食パン=『暫』の主⼈公「鎌倉権五郎景政」

ゴマパン= 弁慶

 

キャラクターも衣装も、歌舞伎の演目に沿うように描かれているそうです。

言葉も絵も、ダイナミックでリズミカルな『かぶきやパン』。

読み聞かせにぴったりの一冊ですね。

 

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