スーパーや製菓材料店には、強力粉、薄力粉、フランスパン用粉など、いろいろな種類の小麦粉が並んでいます。
そのため、「どれを選べばいいか迷ってしまう」という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本で流通している小麦粉の種類や分類法についてまとめてみました。
小麦粉の種類と特徴
パンやめん類、お菓子、料理などに幅広く使われている小麦粉。
日本では小麦粉について国が定めた規格はありませんが、性質をわかりやすく伝える方法として、小麦粉に含まれる「たんぱく質」の量をもとにした、次のような分類が行われています。
強力粉
たんぱく質含有量:11.5〜13.0%
粒の硬い「硬質小麦」からつくられた粉で、たんぱく質の量が多い。
パンの骨格となるグルテンを形成する力が強い。
用途:食パン、テーブルロールなど
商品例:日清製粉「カメリヤ」、日本製粉「イーグル」、昭和産業「強力小麦粉クオリテ」など
準強力粉
たんぱく質含有量:10.5〜12.5%
強力粉と同様に「硬質小麦」からつくられる。
強力粉に準ずるたんぱく質量、グルテンの力がある。
用途:フランスパン、菓子パン、中華麺など
商品例:日清製粉「リスドォル」、日本製粉「ジェニー」、日東富士製粉「パリス」など
中力粉
たんぱく質含有量:7.5〜10.5%
粒の柔らかい軟質小麦の中でも、比較的たんぱく質が多い「中間質小麦」からつくられる。
強力粉と薄力粉の中間的な性質の粉。
用途:日本めん、フランスパン、菓子など
商品例:日清製粉「雪」、日本製粉「たけ」、木下製粉「さぬきの夢」など
薄力粉
たんぱく質含有量:6.5〜9.0%
粒の柔らかい軟質小麦からつくられる。
たんぱく質含有量が少なく、グルテンを形成する力が弱い。
用途:菓子、調理一般
商品例:日清製粉「バイオレット」、日本製粉「ハート」、江別製粉「ドルチェ」など
【小麦粉の種類と特徴】まとめ
小麦粉の種類と特徴、用途を表にまとめてみました。
小麦粉の種類 | たんぱく質含有量の目安 | 用途 |
強力粉 | 11.5~13% | 食パン、テーブルロール |
準強力粉 | 10.5~12.5% | フランスパン、菓子パン、中華麺 |
中力粉 | 7.5~10.5% | 日本めん、フランスパン、菓子 |
薄力粉 | 6.5~9.0 | 菓子、調理一般 |
パン用粉、フランスパン用粉の違い
上でもご紹介したように、日本では長らくたんぱく質含有量の多い順に「強力粉」「準強力粉」「中力粉」「薄力粉」とする分類法が一般的でした。
ところが、最近は「強力粉」や「準強力粉」と表記する代わりに「パン用」「フランスパン用」「めん用」「菓子用」などの用途を記載した小麦粉が増えています。
その理由は、製粉技術が進化して多種多様な粉がつくられるようになった現在は、たんぱく質の量だけで粉の特徴を伝えるのがむずかしくなったから。
メーカーがフランスパン用に開発した粉とめん用につくった粉では、風味はもちろん、弾力やねばり具合、のび方など、粉の持つ性質がまったく違います。
それなのに、たんぱく質を基準にするとどちらも同じ、中力粉に分類されてしまう……。
というわけで、粉の違いをよりわかりやすく紹介するために、
「この粉は、こんなメニューに向いています」と、おすすめの用途を記載するようになったのだそう。
ちなみに、パン用粉、フランスパン用粉と表記されている粉には、次のような違いがあります。
パン用粉
パンに向く小麦粉の総称。
フランスパン用粉を含まないことが多い。
食パン、テーブルロール、菓子パンなどに使用すると、ふんわりとした食感に仕上がる粉が主流。
フランスパン用粉
バゲット、バタール、ブールなど、小麦粉、食塩、パン酵母、水だけでつくるシンプルなフランスパン向きに開発された小麦粉。
たんぱく質の含有量は中力粉〜準強力粉程度。
日本の一般的なパン用粉に比べて灰分(ミネラル)含有量が高く、粒子が粗いフランス産の小麦粉に近い性質に仕上げらている。
小麦粉の賞味期限と保存方法
買い置きしていた小麦粉をよく見たら、「賞味期限を過ぎていた!」ってこと、ありませんか?
「賞味期限(製造後、その食品がおいしく食べられると保証する期限)」は「消費期限(安全に食べられる期限)」と違って、過ぎてもすぐに風味が落ちたり、健康に害をおよぼすことはありません。
とはいえ、期限を過ぎると品質は劣化していきますので、期限内に使い切りましょう。
小麦粉の「賞味期限」は、農林水産省のガイドラインをもとに各メーカーが定めています。
また、小麦粉は湿気に弱く、においがつきやすい食材。
保存する際は次の点に注意しましょう。
冷蔵庫に入れると固まったり、カビがはえたりすることがあります。
風通しのよい乾燥した場所に保管しましょう。