「パンは冷凍するとおいしくなくなる」と思っていませんか?
Pascoブランドでおなじみの敷島製パンさん の実験によると、味が落ちるかどうかは「冷凍の方法」次第なのだとか。
そこで今回は、敷島製パン さんの実施した実験結果をご紹介。冷凍パンの賞味期限やおいしい食べ方についてもまとめました。
冷凍パンの味覚と硬さ(老化)を科学的に検証
焼成後冷凍パンブランド「L’Oven(ル・オーブン)」 をオンラインショップ限定で展開している敷島製パンさんでは、「ル・オーブン」のパンを対象に冷凍パンの風味と老化について実験。
AI技術を用いてヒトの味覚を再現した味覚センサー「レオ」と、センサーで荷重を測定するテクスチャーアナライザーという機器を用いて、冷凍パンの味覚と硬さ(老化)を科学的に検証しました。
「急速冷凍」したパンは味が落ちない
味覚の実験では、「ル・オーブン」のバゲットを用いて、 専用冷凍設備で短時間に冷凍した「急速冷凍」と家庭用の冷凍庫などでゆっくり冷凍した「緩慢冷凍」のパンを比較検証。
5つの基本味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)を味覚センサー「レオ」で分析し、数値化しました。
その結果、急速冷凍させたル・オーブンのバゲットは、緩慢冷凍させたル・オーブンのバゲットに比べ、「甘味」と 「旨味」の数値が高く、より「おいしい」と感じることがわかったと言います。
ちなみに、味覚センサーにおける「おいしい」の定義は、 「5つの基本味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)のうち、2つか3つの味のみ数値が高く、他の味とのコントラストがある」というもの。その数値の高さが3.0点に近づけば近づくほど味覚上、おいしく感じるとされているそうです。
この実験では、5つの基本味の中で高い数値を示した「甘味」と「旨味」の2つの味において、「急速冷凍」させたバゲットのほうが、「緩慢冷凍」させたバゲットより3.0に近い数値を示したことから、「よりおいしく感じる」とされました。
「急速冷凍」したパンは老化しにくい
硬さ(老化)の実験では、「急速冷凍」したバゲットと「緩慢冷凍」したバゲットを解凍し、テクスチャーアナライザーを用いてクラム(中身)の硬さを比較検証しました。
その結果、「急速冷凍」させたバゲットは、「緩慢冷凍」させたバゲットよりクラムがやわらかいことが実証されました。
パンを構成する「デンプン」は焼き上がった直後から水分が蒸発して硬くなりはじめ、口あたりが悪くなっていきます。
こうしたパンが硬くなる(老化する)スピードは温度が下がるほどはやくなり、2〜4℃で最も老化が進むと言われています。
「急速冷凍」では、この「でんぷんが最も老化する温度帯」をすばやく通過。
さらに、冷凍する食品内の氷結晶が大きくなり、組織が損傷されやすい温度帯「最大氷結晶生成帯」(マイナス1℃~マイナス5℃)もはやく通過するため、 老化を防ぐことができ、焼きたてのおいしさを保つことができるのだそうです。
ということは、家庭用冷凍庫だと、この2つの温度帯を通過するのに時間がかかるため、硬くなったり、ぱさついたりしてしまうというわけですね。
そこで、蛇足ながら、家庭でパンを冷凍する場合のポイントをご紹介します。
「冷凍パン」の食べ方と賞味期限
最近は、焼きたての味わいを家庭で手軽に楽しめる「焼成後冷凍」したパンが注目されています。
敷島製パンの「L’Oven(ル・オーブン)」 も、そうした焼成後冷凍パンブランドのひとつ。
国産小麦粉とルヴァン種を使用し、低温長時間発酵させたパンを石窯で焼き、独自の技術で急速冷凍。 冷凍した状態で宅配してくれます。
「ル・オーブン」のパンは、賞味期限が30日。
食べる時は、次のように焼くのがおすすめとのことです。
パン職人さんがつくったパンを、最高の状態で味わえる「急速冷凍」の焼成後冷凍パン。
焼きたてのパンを家庭で手軽に楽しみたい方は、ぜひチェックしてみてください。