するめとニンジンでつくるから「いかにんじん」。
名前も、材料も、つくり方もシンプルなこの1品は、福島県中通り地方北部のお正月に欠かすことのできない郷土料理です。
最近ではカルビーから「ポテトチップスいかにんじん味」が発売されたり、福島土産として「いかにんじん煎餅」が売り出されたりと、改めて注目を集めている「いかにんじん」。
今回はそのルーツを探るとともに、我が家の「簡単・いかにんじんレシピ」をご紹介します。
【いかにんじん】の歴史は100年以上
福島市を中心とする福島県中通り地方北部で、古くから食べられてきた「いかにんじん」。
その起源ははっきりしませんが、お年寄りへの調査などから100〜150年前にはつくられていたのではと言われています。
「いかにんじん」のルーツについては、「北海道の松前藩が梁川藩(現伊達市梁川町)と領地を差し替える国替えを行った際に食文化が伝わった」として、北海道の「松前漬け」をルーツとする説もありますが、逆に「いかにんじん」が「松前漬け」のルーツだとする説もあって、真相はいまだ不明。郷土料理研究家や郷土史家の方々が調べても確固たる証拠はみつかっていません。
ちなみに、長細い東洋にんじんが中央アジアから日本へ伝わったのは16世紀頃(現在、主流となっている西洋にんじんは江戸末期にヨーロッパから伝来)。
江戸時代の医師貝原益軒が『菜譜』(1704)に「(にんじんは)菜中第一の美味なり。性また最もよし」と書いたように、江戸期に食べられていたにんじんは風味のよいものだったようです。
福島では、江戸後期からこの長にんじんがつくられるようになり、初冬に収穫される特産の長にんじんで「いかにんじん」をつくるようになったと言われています。
同じ東北でも、宮城や岩手、青森ではお正月に昆布や数の子を入れて醤油漬けをつくるとか。
つまりは、「それぞれの地で、それぞれの特産物を使った料理が生まれ発展した」というのが、本当のところかもしれませんね。
我が家の「簡単・いかにんじんレシピ」
細く切ったにんじんとするめを醤油だれに漬け込む「いかにんじん」。
家庭によって味付けはそれぞれで、昆布を加えるお宅も多いようですが、我が家の「いかにんじん」はシンプルな材料で、つくり方も簡単。
今回はするめを切って使いましたが、「切りいか」や、おつまみとしてコンビニやスーパーで売っている「いかそうめん」を使ってもつくれます。
材料
するめ 2枚
酒 適量
にんじん 5本
塩 適量
A 酒 200cc
しょうゆ 100cc
みりん 大さじ2
つくり方
1 調理ばさみで、するめを長さ4〜5cm、幅3〜4mmに切る。
2 1を水洗いして水けをよく切り、ボウルに入れる。酒を適量ふって30分〜1時間おく。
3 にんじんの皮をむき、長さ4〜5cm、幅4〜5mmに切る。塩をふって軽くもみ、水洗いして水けを切る。
4 Aの材料を鍋に入れてひと煮立ちさせ、冷ます。
5 2のボウルに3を加え、4をかけて混ぜる。
6 密閉容器に入れ、冷蔵庫で保管する。
できあがった「いかにんじん」はお酒の肴にぴったり。
たっぷりつくっても1週間ほどで食べきってしまいます。
もしも、たくさん残ったときはちょっとアレンジを加えて。三つ葉を加えてかき揚げにしたり、塩焼きそばの具にしてもおいしいですよ。