パンがテーマの本を見つけると、つい手に取ってしまいます。
今日、出会ったのは『パンのずかん』。
いろいろな国のいろいろなパンが描かれている絵本です。
104種類のパンが描かれている【パンのずかん】
絵本の中は、くまベーカリーのお店。
まるいパン、ながいパン、はさむパン、おかしなパン……。
ページをめくると、おいしそうなパンたちが次々にあらわれます。
その数、全部で104種類!
読みすすむうちに、パンのいい香りが漂ってくるようです。
作者の大森裕子さんは、たくさんの作品を描かれている絵本作家さん。
大森裕子(おおもり ゆうこ)さん
1974年神奈川県生まれ。絵本作家・イラストレーター。
東京藝術大学大学院油画専攻修了。
主な絵本に『へんなえほん』シリーズ、『おすしのずかん』『ねこのずかん』『なにからできているでしょーか?』(白泉社)、「よこしまくん」シリーズ(偕成社)、『ぼく、あめふりお』(教育画劇)など。
公式サイト https://iri-seba.com/
Twitter @omorihiroko
Instagram @hiroko.omori.ehon
Facebook https://www.facebook.com/hiroko.omori.ehon
『パンのずかん』は大ヒットした『おすしのずかん』に続く食べ物図鑑絵本第2弾。
育児情報誌「kodomoe」から生まれた絵本です。
パンの絵を描きはじめた当時のことを、大森さんはご自身のブログ「いりたまごセバスチャン 絵本作家・大森裕子のしごと」でこう書いていらっしゃいます。
最初のページは「まるいパン」。ここのあんパンを描けるようになるまでに2週間くらいかかったっけ…。
正直言って、私、最初は、パン描くのは簡単だと思っていました。へらへら余裕ぶっこいてました。
ところが、木村屋総本店さんであんパンを買ってきて、試しに描いてみたところ、まぁこれが全然描けなかったんです。木村屋総本店のあんパンが、とっても魅力的すぎてとても表現しきれませんでした。
できたてのあんパン。まだ湯気がたってるくらいの。しっとりとした湿り気。なめらかな手触り。ふんわりと孕んだ空気。サクッと切れる外皮。口の中でプチプチはじけるゴマ。あんこの重さ。酒種酵母の懐かしい香り。
これを描きたい。この香りまで…。そう思いました。それからは、毎日パンのことばかり考えて過ごしました。「パンと仲良くなる」と紙に書き机の前に貼って(笑)、毎日毎日、何時間もパンを描き続けました。
するとある時、パンを見ただけで、どの色をどの順番で重ねて描けばいいのかが、なぜだかフッとわかるようになりました。パンが私に教えてくれるようになったんです。嘘みたいな話だけど、本当の話です。
それからは、ただただ、パンから教わった通りに手を動かしていきました。
(締め切りに間に合わなくて、泣きながら、の日も多々ありましたけれど)そうして生まれたこのパンたち。全104種!
みなさんのお手元に置いていただけたら、とても嬉しいです。
「パンのことをもっと知りたい」と、大森さんは千葉・松戸の人気ベーカリー「ツオップ」さんへも取材にいらしたそう。
「このおいしさを、香りを届けたい」。
そんな想いが込められているから、『パンのずかん』のパンはどれも生き生きとおいしそうなのですね。
パンが生まれた国やつくり方もわかります
本の監修を担当されている井上 好文さんは、パンの研究調査や職業教育を行っている公益法人「(社)日本パン技術研究所」の所長さん。
それぞれのパンには、わかりやすい説明がつけられています。
たとえば、カンパーニュは
フランスごで 「いなか」という いみ。ライむぎを まぜて やいた そぼくな あじ。
生まれた国がわかる国旗マークが付いているのもうれしいポイント。
さらに、くまベーカリーがどうやってパンをつくっているのか、パンができるまでの工程も紹介されています。
子どもだけでなく、パン好きの大人が見ても楽しめる一冊ですね。
【パンのずかん】は、いろいろな賞を受賞
『パンのずかん』は、小さなお子さんの手にもなじみやすく、ページをめくりやすいサイズ(17.7 × 17.7× 0.8 cm)。
見ているうちに、どうしてもパンが食べたくなってしまう素敵な絵本です。
そんな魅力的な『パンのずかん』は、さまざまな賞を受賞しています。
パン好きにも、絵本好きにもたまらない「パンのずかん」。
パン大好きな子どもたちにぜひ読んでほしい1冊です。
『パンのずかん』
大森裕子・作
井上好文<日本パン技術研究所>・監修
■ISBN:9784592762331
■定価:本体: 880円+税
■発売日:2018.9.5